【9/21(火)】個別指導の神様が降りてきた・リターンズ~大手塾VS個人塾~(34)“広告戦略”の攻防・再び②

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■場面は再び、“天下一個別”の本社ビル内。

「いいか、塩川君、まずはチラシ戦略だ。この春もかなり大量投下するぞ。」

「はい。ただ…。」

「ただ、何だ?」

「う~ん…言いにくいのですが…。」

「いいから、言ってみろ!」

「はい。私ごときが意見するのも何ですが、東京の方のデータを見ても、もうチラシはあまり効かないと思うのですが…。」

「それは何のデータだ?」

「はい、“天下一個別”の首都圏事業部の問合せ媒体のデータです。それを見て、東京ではリスティング広告などのネット系に力を入れるようでして…。」

「ふふ…そんなデータ、何の役にも立たない。」

「えっ?!役に…立たない…ですか?」

「そうだ。首都圏事業部のチラシはあまりにもダメすぎるからな。」

「あっ、はい…。」

「ふん、どうせキミは何がダメか分かっていないだろうな?」

「はい、その通りでして。」

「もちろん、今の時代を考えると、スマホ用サイトの工夫や、“塾エラビ”などのポータルサイト対策、リスティング広告などは積極的にやっていく必要があるだろう。」

「はい。」

「しかし、チラシはまだ利く。」

「と言いますと?」

「うちの塾のチラシは…、いや、大手のチラシは大体どこもそうだが、端的に言うと、あまり中身のないイメージチラシになっているだろう?」

「まあ、そうかもしれません。」

「しかも、全国展開している塾なのに、どの地域でも同じようなチラシを打っているだろう?」

「はい。」

「あれは愚の骨頂だ。」

「またまた、そんなはっきりと…。」

「ダメなものをダメだと言って何が悪い?」

「いえ、悪くはありません…。」

「今の時代は局地戦だ。地域、地域でいかに勝っていくかの戦略を立てなければならないんだ。」

「はい。」

「つまりは、チラシに対して、従来の価値観から脱却しなければ、大手と言えども、地域密着の塾には勝てない。」

「はい。」

「そして、それが多少分かっている大手は中途半端な地域版チラシを作る。例えば、京都版、大阪版みたいな感じでな。」

「確かにそうですね。」

「でもだ。何でもそうだが、中途半端なものでは意味がない。京都も広いし、大阪も広い。それを地域版として一括りにして何の意味がある?はっきり言って無駄だ。」

「あっ、はい…。」

「どうせ作るのなら、もっと細かな地域版チラシを作らないと意味が無いんだ。」

「なるほど。」

「ただ、そこで一つネックになることがある。」

「それは何でしょうか?」

「コストの増大だ。今以上の細かな地域版チラシを作るとコストがかかり過ぎる。だから、チラシは共通版になり、そして、ネットの方が費用対効果が高いという判断になる。」

「なるほど、なるほど。」

「しかし、ここに落し穴がある。」

「その落とし穴とは?」

「まだまだネット広告よりも、ちゃんと地域に合ったチラシを作りさえすれば、その方が費用対効果が高いということに気づいてないということだ。」

「えっ?チラシの方が高いんですか?」

「そうだ。間違いない。計算してみればいい。ただし、チラシの完成度が重要だ。」

「では、どんなチラシを作ればいいのでしょうか?」

「それは、“個勉塾”がやっているように、教室の生徒の写真を一杯載せたチラシにするんだ。」

「生徒の写真をいっぱいですか?!」

 

 

■場面は再び、“からくり屋珈琲店”。

「あ~、どうしよう!全然、決めきれない!あのクソタヌキの野郎がいてくれたらな…。」

「はあ?誰がタヌキやねん。しかもクソまで付けよってからに。このボケが!」

「ひゃー!!!タヌーキさん!!!」

「何やねん、そのビックリ不細工な顔は!」

「だ、だ、だって!」

「ジブン、相変わらずヘボ社長やな。」

「タヌーキさん、有り難うございます!私のために帰ってきてくれたんですね!」

「何言うてんねん。誤解せんといてや。別にジブンのために帰って来たんやあらへんで。」

「じゃあ、どうして?」

「珈琲を飲みに来ただけや。」

「またまた~。」

「はあ?その馴れ馴れしい感じやめてんか。」

「まあ、何かよく分かりませんけど、珈琲じゃなくて、パフェにしましょうよ。」

「だから、パフェ断ちしてるって言ってるやん。ジブン、わしを殺したいんか?」

「えっ?何か病気なんですか?」

「いやまあ、病気ちゅうか、何ちゅうか…。」

「はっきり言ってください!」

「まあ、ちょっと腎臓の数値が悪いだけなんやけどな。痩せなあかんし、睡眠もちゃんと取らなあかんし、塩分とタンパク質も取り過ぎたらあかんって医者からきつく言われてしもうたんや。ほんで、あのガキときたら、このままやったら、人工透析になって、下手したら死にますよ!ってしゃーしゃーとぬかしよったんや。ほんま、ムカつくわ~。」

「ひゃー、それは大変じゃないですか!…あれ?でも、死ぬって…あなた神様なんだから、死ぬも何もないんじゃないんですか?」

「アホか!神様だって死ぬ時は死ぬんや。」

「そ、そうでしたか…。」

「まあ、そんなことはどうでもええわ。で、わしに何か用かいな?」

「はい。春の募集期戦略についてアドバイスが欲しいんです。」

「そんなん面倒くさいわ。ジブンで考えたらええやん。」

「それができないから頼んでいるんです。」

「ジブン、いい加減独り立ちせなかんで。戦略を考え、答えのないものに断を下すのが社長の仕事やで。」

「それは充分分かっているんですけど、もう少しだけ私に力を貸してください!」

「しゃーないな。で、今のところ、どう考えてんねん。」

「はい。チラシは利かなくなっているので、チラシは減らすか止めるかの方向で…。」

「ちょっと待った!何を血迷ってんねん。」

「えっ?」

「確かに、昔よりチラシを打った時の反応は下がってると思うわ。そりゃあ、そうやわな。全国的に新聞購読率が下がってきているんやからな。」

「そうでしょ。」

「でも、この地域の新聞購読率って知ってるんか?」

「あっ、ちょっと待てください。確か、生徒にアンケートを取った結果が鞄の中に入ってますから。」

「おお。」

「えっと…今、うちに通って来てくれている生徒の集計データですけど、だいたい六十パーセント弱です。」

「そやろ。全国を見渡せば、はかなり購読率が低い地域もあるのはあると思うけど、この地域はまだ約六割の家がまだ新聞を取ってるわけや。しかも、フリーペーパー的なものも入れると、もっとチラシを見てもらえる率は上がる。」

「確かに…。」

「だからな、今の購読率を考えた時、新聞折込チラシを捨てるのは勿体無い。まだチラシは積極的に投入すべきなんや。」

「なるほど。」

「でな、我利ちゃん、今の問合せの流れは分かってるか?」

「問合せの流れですか?…どういうことですか?」

「つまりや、新聞折込チラシを入れた時の流れは、だいたい四パターンに分かれる。」

「はい。」

「一つ目は、新聞折込チラシを見る→スマホサイトを見る→資料請求をする、もしくは電話をする。の流れ。」

「はい。」

「二つ目は、新聞折込チラシを見る→ネットで検索して“塾エラビ”から資料請求をする。の流れ。」

「はい。」

「三つ目は、新聞折込チラシを見る→学校やママ友の間で塾の話になる→その塾に通っている子(ママ)に塾のことを聞く→電話をする。の流れ。」

「はい。」

「四つ目は、新聞折込チラシを見る→友達や知り合いがその塾に通っていることを思い出す→電話をする。の流れ。」

「なるほど。」

「だいたいこんな感じや。」

「確かにそうですね。」

「ここで、気づくことはないか?」

「う~ん…当たり前ですけど、何らかのアクションを起こしてもらうためには、新聞折込チラシの内容が大事かと。」

「まあ、そうやな。特に、三つ目と四つ目のパターンを増やせば、入塾率は上がる。ここを上げるチラシとは何かちゅうことやな。」

「あっ!これは、もしかして、うちが今もやっている実際の生徒の写真をできるだけ載せるパターンってことですか?」

「そうや。友達や知り合いが載っていたら、学校でもママ友間でも話題になるやろうし、しかも、知っている子が行ってるとなったら安心やろう。」

「そうですね。」

「ただ、ここまでは、恐らく、今回は“天下一個別”もやってくるやろう。キーツネなら、間違いなくそうしてくるはずや。」

「はい。」

「だから、我利ちゃんとこは、その上を行かなあかん。それには、チラシに載せる生徒を厳選するこっちゃ。多くの塾は、どの生徒を載せれば問い合わせが来るかなんて、面倒くさいことをそんなに考えてへん。だから、そこに差別化が生まれて来るんや。」

「じゃあ、成績が良い子を厳選して載せましょうか。」

「いや~、ジブン、相変わらずセンスないわ。成績が良くても嫌われてる子を載せると逆効果やで。」

「ということは?」

「成績が良くて、もしくは成績が上がっていて、尚且つ、イケメンか可愛い子ちゃんで、学校の人気者。」

「ひゃー、ハードル高いですね!」

「何言うてんねん。問合せ作りたけりゃ、それくらいのことせなあかんに決まってるやん。ショボい塾はそれができひんから、チラシは利かんとか言ってんねん。」

「分かりました。頑張ってみます!」

「あとな、“塾エラビ”や。」

 

※明日に続く

 

オーラのないマッチメーカーこと、株式会社WiShipの岡田がお送りしました爆笑